瀬見温泉(Semi Spa   


施設名 民宿 古木屋
場 所 山形県最上町瀬見
源泉名 町営5号源泉
泉 質 ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉(含石膏−食塩泉)
温 度 67.2℃ pH 7.6 溶存成分総計 1,950mg/kg
お湯の様子 無色透明,うす塩味,微硫黄臭+芒硝臭,白い湯花あり, 熱め,加水無し,かけ流し
料 金 500円 営業時間 要相談 (冬期間休業)

平成23年2月現在、正式に廃業しました。残念でなりません。


 瀬見温泉の中にある旅館群の中で唯一の民宿がここ古木屋だ。となりには立派な旅館のまごろくが鎮座する。老夫婦が経営しており,自分たちのできる範囲で,という思いから冬期間は客をとらずに日帰りのみの利用を受け付けてくれる(時間限定で)。

 入り口から入って一番奥まで進んだ突き当たりに浴室が1つだけある。家族風呂という部屋もあるが現在は利用されていない。女将さんから「冬はお客をとらず,私たち夫婦のみが入るから水を一滴も入れていないからゆっくりしていってね。」と声を掛けられ,思わず笑みがこぼれてしまった。熱い瀬見のお湯を加水無しで味わえる?そんな馬鹿な…。朝に清掃をして,ちょうど夕方15時過ぎにたまったばかりだという浴室へ入るとふんわりと漂ってきましたよ 芒 硝 臭 が。芒硝臭の中にほんのりと硫黄の香りも混じっていて何とも上品な香りに仕上がっている。浴槽は何とホワイトポリバスなのだ。タイル造りの庭まであるしっくりした浴室に白いポリバス。何とも不釣り合いなのだが,そのポリバスから静かにかけ流されている様子が見えた。もう待てません。すぐにでもこのお湯を味わいたいと思っていざ浴室へ突入した。
 湯温は約47℃。熱いです。まずは攪拌し,46℃まで下げて早速入浴した。体にビリビリ染みこんでくるような浴感があるのだが,入ってしまうとそれがちょうど良い温度に感じられてくる。湯面から香ってくる芒硝臭が堪らない。1〜3分ほど浸かった後に,自分の体を見てみると真っ赤になっていた。やはりそれだけ熱いお湯なのだと改めて思った。今度はその真っ赤な体を冷ますために,洗い場に横たわりトドになってみた。10分くらいトドになっていただろうか,やっとトドになっている背中の横にお湯が溢れ出してきた。投入量を絞って,本当に少量ずつを注がせている(源泉100%にするために)のがわかった。「源泉を出し過ぎると熱くて水を入れなければならない,お客をとらない今の時期はあわててお湯を準備する必要がないからこうしているんだよ。」と語っていたさっきの女将さんの話がうかんできた。なるほど,10分たってやっと溢れ出すというのはそれほど源泉にこだわっている証拠なのだ。
 ここは大変気に入りました。春から秋にかけてお客が多い時期には急いでお湯を準備しなければならないので加水無しの状態にできないのだが,冬だからこそできる「源泉を大切にする湯守の心」を味わうことができた。お湯をため終わる時間がだいたい15時前後なので,入ろうと思う人はそれ以降の時間に伺うと良いだろう。

H20/12/28


  
たった一つの浴室に鎮座するホワイトポリバス。   湯口はライオン湯口。ここから源泉100%をちょろちょろ注がせる。  完全100%加水無しかけ流し。