安代温泉(Andai Spa


施設名 塵表閣
場 所 長野県山ノ内町平穏
源泉名 共益会11号ボーリング
泉 質 ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
温 度 93.0℃ pH 8.43 溶存成分総計 1,608mg/kg

(Na 417mg, HS 0.8mg, Cl 548mg, SO4 264mg)

お湯の様子 無色透明,熱め,薄塩味,弱芒硝臭,褐色湯花少々,かけ流し
料金 日帰り設定なし 営業時間

 安代大湯のすぐ裏にある風格漂う老舗旅館。最初は立ち寄る予定でなかったのだが,自分がどうしても入ってみたくなり仲間を説得して旅館に顔を出してみた。宿主のご夫妻が対応してくださり,いろいろ話をしているうちにせっかくだからどうぞということで浴室を利用させてもらった。後から伺った話だとここは日帰り入浴を一切受け付けていないとのことでした。今回利用させていただいたことに対してこの場をかりて心より感謝いたします。

 小さい浴室で…とご夫婦が謙遜されていた浴室に向かうと,そこにたった1枚の扉があるだけだったので「浴室は1つ,ということは貸切?混浴?」と思えてしまった。しかしこの扉の向こう側にはとんでもないプリミティブな世界が広がっていた。
 扉を開けると階段があり,下へ下る先に左右にアコーディオンカーテンがありそれぞれ右側が男湯,左側が女湯になっている。ほぼ脱衣所一体型で左右対称に男湯と女湯が並んでいる。女将さんはどちらも使って良いよとおっしゃってくださったのでまずは男湯へ入ってみようとアコーディオンカーテンを開けてみた。歴史有る昔ながらの「玉ノ湯」と名付けられた浴室に足を運んで思わず身震いがしてしまった。脱衣所から見える風景がすばらしいのだ。男女間の仕切りは低く,背伸びしてみると隣が見えてしまいそうな造りなのだがそんなのはご愛敬。男女浴槽とも2人が入ると精一杯の小さいサイズのタイルばり浴槽で,そこに無色透明の安代の湯がゴボッゴボッと間欠泉のように注がれているのだ。当然源泉かけ流し。友人が先にお湯へ向かったが,その後悲劇が訪れる。
 あつい!と友人が飛び上がったのだ。さすが湯田中地区。やはりここもお湯は熱かった。そういえば入る前に女将さんから「入るには熱いから水を入れてくださいね」と言われていたっけ。それでも何とかしたいと考え,しばらくの間3人で湯もみしてみた。それでも湯温を計ってみるとまだ51℃もある。しょうがないので涙の思いで加水した。それでもなかなか湯温が下がらない。47℃まで下がった時点でとっぷり湯に浸かった。ピリピリ肌にさし込んでくるような浴感と湯面から香ってくる微芒硝臭がとても心地よい。あぁ安代最高!思わず心の中でつぶやいてしまう。ゆっくりお湯に浸かっているとなぜか足下がびりびり熱くなってきた。よく見てみるとこの浴槽,底で約5cmほど隙間が空いており,女湯と繋がっているのだ。こちらの湯温を下げても女湯を下げなければジワジワ熱くなってくるのだ。女湯の方の湯温を計りに浴槽を出ると今度は一緒に湯に入っていた友人が悲鳴を上げた。男湯の湯面が下がったため,女湯の激熱湯が一気に男湯へ足下から流れ込んでくるのだ。ちなみにその時の女湯の湯温を計ってみると53℃あったことを付け加えておく。
 それにしても熱かった。けれどここのお湯はとても気持ちが良かった。何せ小さい浴槽に源泉をそのまま,そして湯小屋の造りと風情。それだけでなく,古いものを活用して新しく棚を造ってオブジェを飾ったりとインテリアや小物にまで配慮を加えている。すばらしいの一言です。

 湯上がりに旦那さんとお話しして,塵表閣の名前の由来などを伺った。聞けば聞くほど実にすばらしい旅館だと実感した。なお,女将さんが「お客さん達は静かに入っていたねぇ。大丈夫でしたか。」とお話ししてくださった。結構自分たちもあついあついと騒いでいたのだが,これでも通常の客よりも静かだったのですね。やはり熱いと思って苦労したのは自分たちだけでなかったようです。いつかまたこの旅館を訪れたいと思いましたが,次回はぜひ宿泊で利用してみたいと思った1湯でした。

H19/7/15


  
浴室に入ると階段を下り,左右に分かれる脱衣所一体型の内湯。  こちらが男湯。仕切は180cm程で低いです。   間欠泉のようにゴボゴボ注がれる湯口。

  
この日最強の51℃。湯もみしてもダメで,結局加水することに。   内装が一工夫されている。古き良きを残し,おしゃれに…。   安代大湯のすぐ裏。きれいな夜のライトアップ