上山湯町温泉(Kaminoyama Origin Spa   


施設名 本陣 しまづ
場 所 山形県上山市十日町
源泉名 上山温泉1号2号3号混合源泉
泉 質

ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
(含石膏-食塩泉)      

温 度 64.3℃ pH 7.9 溶存成分総計 2,598mg/kg

(Na 523mg, Ca 329mg, Cl 820mg, SO4 735mg)

お湯の様子 無色透明,うす塩味+石膏味,温泉臭+微石膏臭,やや熱め,かけ流し
料 金 日帰り不可 営業時間

 上山の湯町と新湯温泉街とは離れた十日町商店街の片隅に佇む温泉旅館。見た目は酒店で、蔵が並んだような造りになっているので、ここが温泉旅館だと気付く人はあまりいないだろう。元々は薩摩の島津公がルーツになっていて、信州、高畠を経てこの上山に明治初期に移り住んできた由緒ある家系の旅館だ。造り酒屋を経て現在は酒店ということもあり、部屋の名前が出羽桜とか初孫と、日本酒の名前が付けられているのも楽しい。

 重厚な玄関を抜けると島津家の家紋が出迎えてくれる。そんな家紋の裏に「まほろばの湯つぼ」と書かれた浴室がある。ここの旅館には浴室が1つしかないので貸切で利用する。浴室の中に入るとほんわりと石膏臭と温泉臭が混じった良い香りが広がってくる。これですよこれ、かみのやま温泉の純粋な香り。水色タイルと青タイルが入り交じった浴槽は深めの造りで、奥に行くほど狭くなっている。そして奥の壁にはやや高い位置から注がせる御影石湯口がある。御影石にはびっしり温泉成分がこびりつき、ワクワク感を高めてくれる。当然のことながら吸い込み口などは無い。純粋たるかけ流しだ。軽くかけ湯するとビリッと熱めのお湯が体を喜ばせてくれる。静かに体を沈めていくと、あぁシアワセ!そんな浴感だ。お湯は輝くほど透き通っていて、湯花や湯ゴミが全くなく澄んだお湯だ。こんなにクリアなお湯はかみのやまで見かけたことが無い。湯面からは石膏臭が香り、鼻孔を刺激してくれる。大好きなかみのやま温泉でこんな素晴らしい温泉旅館に出会えるとは思っても見なかった。一緒にいた温泉友達は「ピカピカだぁ」としきりにつぶやいてこの透き通ったお湯に感動していた。
 この旅館は定員20名で、1万円よりも低い値段で宿泊することが可能だ。良いお湯、そして良い雰囲気に出会える旅館なので、ぜひ温泉好き(MT派)の方は宿泊利用してみてほしい。個人的には絶対宿泊利用する予定です。なお、この素敵な温泉旅館が山形300湯のメモリアルになりました。

H24/12/30

  
たった1つの浴室。細長いタイル浴槽は深めで透明感が高く透き通っている。    湯口の周りのコテコテ成分がお湯の良さを主張しています。   見えますかね。この湯口の素敵さが。

  
湯口を真上から見た図。美しい浴槽に垂直に落ちていきます。    こちらから溢れ出して行きます。当然トドになれます。    島津公の家紋の裏にまほろばの湯壺と呼ばれる浴室がある。


 昨年ご厚意で立ち寄り入浴させていただいた本陣しまづに宿泊しました。今回は朝食付き7000円という値段で宿泊しました。利用した部屋は「春雨」という部屋で、ここはベッドがある不思議な部屋です。手前が畳スペースで、奥がベッドスペースという和洋折衷した感じの部屋です。
 さて、まずはまほろばの湯壺へ向かいます。相変わらずクリアーな透明湯がフレッシュに注がれています。扉を開けた瞬間の爆発的な温泉臭も1年前と同じです。湯温は適温で42℃。熱くもなく、温くもなく、入り心地抜群なお湯でした。夜2回と朝1回の合計3回ほどこの湯壺にお世話になりました。入り口に貸切札を下げることで、他の宿泊客に迷惑を掛けずに済むという仕組みだと言うことも初めて分かりました。
 洗面所に向かう途中で「女性浴室」という入り口を見つけて中を確かめてみました。てっきりまほろばの湯壺のみだと思っていたのですが、別の浴室もあったのです。この浴室はジャスト1人サイズで、小さなタイル浴槽と小さな洗い場があるだけの本当に小さな浴室でした。先週から続いている近所の道路工事のせいでなぜか湯量が低下し、この浴室にお湯が少ししか供給されなくなってしまったということで、今回はこの浴室は利用していないと言うことでした。年始を越えると業者さんが来て、復旧にとりかかるということでした。確かに湯口を見ると、ほんとうにちょろちょろとしかお湯が供給されていないのがわかる。ううん、惜しいなあ。この浴槽にドバーっと浸かって溢れさせてみたかった!また宿題が一つ増えてしまったような気がします。
 朝食は郷土色豊かなものが並び、特にみそ汁が美味しかったです。あたたかい心遣いと、そして何よりも素敵なお湯遣いがあるこの旅館はとてもお勧めできます。蔵王や上山、山形周辺の観光の拠点に利用してみてはいかがでしょうか?

H25/12/29泊

  
雪が積もる中、夜遅く20時過ぎに到着しました。   手前が畳、奥がベッドルームというスペース。   まほろばの湯壺はこの貸切札を利用します。

  
この鏡に書かれている言葉に妙に納得します。      夜遅くもこのきらきらのお湯が舞っていました。      こちら朝一番のまほろばの湯壺。

  
あれ?こんな処に別の浴室が・・・。    こちらが女子浴室の浴槽。1人サイズです。  ちょろちょろお湯は出ているのですが少ないので温めの30℃浴槽でした。 

  
相変わらずな垂直湯口。香りがとても素敵です。    朝食はアジの開きと卵、納豆、海苔、筋子、そしておいしいみそ汁…。   お世話になりました。来年もよろしくお願いします。