浅川温泉(Asakawa Spa


施設名 旅館浅川温泉 弁天の湯
場 所 茨城県大子町浅川
源泉名 浅川温泉
泉 質 ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(含芒硝-食塩泉)
温 度 27.0℃ pH 8.96 溶存成分総計 1,093mg/kg
(Na 320mg, Cl 200mg, SO4 450mg)
お湯の様子 無色透明,無味,芒硝臭,加温,かけ流し
料 金 500円 営業時間 平日休み,土日祝日のみ受付

 茨城県大子町をうろうろしていたときに国道沿いに看板を見つけ,そこから4.5km進んだ所にあった温泉旅館。途中にさまざまな誘惑があったがなぜかこちらの方に魅力を感じ突き進んだ。県道から小道に入った丘の上にある温泉旅館。たどり着いて様々なことにびっくりさせられた。まず,温泉スタンドがあるのだ。そして駐車場脇に天然記念物に指定されている樹齢300年以上ある関東一の巨木藤がそびえる。まだまだサプライズは続く。入口横にある飲泉所には「茨城県源泉飲泉指定第1号」と書かれた立派な看板が掲げられた弁天薬師祠があり,龍神様の口からちょろちょろと温い源泉が流れ落ちている。駐車場には「当温泉は源泉100%かけ流しです。循環濾過装置や源泉以外は加水していません。」という看板が立てられているのだ。おぉ!すばらしい。こんな農村の丘の上の一軒宿にこれほどの名物が並んでいるとは…。だが,
「日帰り入浴平日休み」という文字が目に入り一気に意気消沈した。そんなとき,母屋の入口に人影が見えた。無理を承知でお話ししてみると,休業中にもかかわらず入浴させてくれるとお答えを頂き女湯の方を貸切で利用させていただいた。快くお貸しくださった旅館の方に心から感謝したい。

 旅館の右奥に男女別の浴室がある。今回は湯をはっていた女性用浴室を貸切で利用した。浴室に入ると,幅に合わせて細長い浴槽が1つあり,反対側が洗い場になっているという実にシンプルな造りだ。湯口らしきものが表面にあるが,そこからお湯を注がせている様子はない。宿主の話だと,湯を撹拌するために加温循環はしているが濾過循環,消毒循環などはせず,そのままかけ流しているらしい。確かに湯口は無いが,浴槽の隅からそこそこの量がかけ流されている。お湯は無色透明,ちょうど40℃くらいの適温に調整されていた。早速お湯に浸かって湯口を捜してみる。浴槽の底に2箇所湯口があり,片方からは低温の源泉が,もう片方からは40℃強の高温泉が注がれている。湯面から湯の香りを感じてみるとうっすら芒硝臭が漂ってくる。うん,これは良いぞ。まさか茨城で芒硝臭に出会えるとは思っていなかっただけに,思わず顔がニンマリしてくる。源泉投入口に近いところでお湯の味を味わってみるとほぼ無味だがうっすらとまろ味を感じるやわらかめのお湯だった。湯温が温めの適温だったため,このお湯にじっくり10分以上浸かっていた。芒硝泉といえばついついビリビリ熱々を望んでしまいがちだが,温めの芒硝泉もなかなか良いものだ。これで源泉槽があれば…なんて贅沢はさすがに言っていられない。湯上がりはさっぱりし肌が爽快な感じになる。これぞまさしく芒硝泉といった感じだ。
 何気なく立ち寄ったお湯だったが,人の優しさに出会い,そして良いお湯に出会うことができた。これだから行き当たりばったりの旅はやめられない。

H19/8/16


  
細長い浴槽に浴槽の底から注がせる形式。一部加温のため循環があるが濾過とか消毒ではなくそのままかけ流している。   溢れていく源泉。贅沢です。

  
こちらが弁天薬師祠。この中に飲泉所がある。  飲泉所の龍神様。この口から源泉がちょろちょろ出ている。  飲泉所も敷地内にある。