夏油温泉(Geto Spa)    


施設名 元湯夏油
場 所 岩手県北上市和賀町岩崎新田
源泉名 夏油温泉(大湯)
泉 質 ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)
温 度 59.8℃ pH 6.6 溶存成分総計 5,142mg/kg
お湯の様子 無色透明, 塩味+苦味+炭酸味,硫黄臭+アンモニア臭,かなり熱め
料 金 400円 営業時間 6:00〜20:30(冬季閉鎖)

 夏油温泉の元湯夏油は露天風呂を5つ持つ湯治宿で,日本秘湯を守る会の会員宿にもなっている。北上西ICから車で約40分。夏油高原スキー場よりさらに1本道を6kmほど進み終点が夏油 温泉で,元湯夏油以外に3つほど入浴施設がある。

 夏油温泉は短い夏の期間にたくさんの観光客でにぎわい,どの旅館の露天風呂も大にぎわいをみせている。お湯は塩化物・硫酸塩泉ベースで,若干硫黄が入るか入らないかの区別で,基本的に同じ系統のお湯。大湯が一番身にしみいるいいお湯である。 内湯は宿泊者のみの利用となっている。他の露天風呂のお湯も良いが,山奥まで来て同じような露天に浸かるのはけっこう難儀,やはりこういうところは泊まって味わいたいものである。

<大湯>

 元湯夏油の一番奥に位置する歴史ある露天風呂で,夏油川のすぐ横にある岩の裂け目から自噴するお湯。岩の裂け目が浴槽の底にはならないが,厳密に分類するとここも足下自噴泉になる。観光客の間でも一番人気があり,当然パンフレットなどで紹介されている写真はここがメイン。岩の裂けめ湯口付近がかなり熱めで,硫黄臭とアンモニア系の悪臭が混じったような香りがするお湯がどんどん注がれている。湯口には歴史ある文字(落書きとも言う)が刻まれ,古くは大正時代の刻み込みまである。この日は湯口付近が48℃。一番湯口から遠い浅い場所が45℃あった。観光客のみんなは熱い熱いと言って,そのままタオルを巻いて近くの疝気湯へ向かっていった。確かに熱湯好き以外には受け入れがたい熱さ。お湯は無色透明,はっきりした塩味に炭酸味と苦味が加わったようなうま味がある。びりびり肌に差し込んでくるような熱さを感じ,とても気持ち良い。夏油川の上流方向には一休みできる休憩スペースが用意されており,熱くなった体を川を眺めながらクールダウンすることができる。川の渓谷美を眺めながら力強いお湯を味わうことができるので,ここは元湯夏油にある全ての露天風呂の中では個人的には一番気持ち良いです。

 基本的に大湯は混浴で利用となっており,しかも水着着用やタオルを巻いての入浴が禁止されているため女性にとってはちょっと辛いかも知れないが,10時〜と夕方,そして夜間に1時間ずつ女性専用タイムがあるのでその時間を狙って入ると良いかもしれない。このお湯に入らずに夏油を語るべからずといったところか? 
 

H18/7/29再訪


源泉名 夏油温泉(滝ノ湯)
泉 質 含硫黄ーナトリウム・カルシウムー塩化物温泉(低張性弱酸性高温泉)
温 度 54.8℃ pH 5.8 溶存成分総計 4,818mg/kg
お湯の様子 うす白濁,適温,白いそうめん湯花,微硫黄臭,塩味,時間別女性専用

 


<滝ノ湯>

 元湯夏油の露天風呂軍団の中で唯一「屋根」と「壁」があり,完全に湯小屋形式で利用できる施設が滝ノ湯。それだけに女性専用浴場となる時間が長いのが特徴。男性が入浴できる時間がかなり狭いので注意したい。滝ノ湯の湯小屋と階段を挟んだ反対側にお湯だまりがあるが,そのお湯からかなり濃厚な硫黄臭が感じられる。湯小屋の中に引かれているお湯も同じで,かなり硫黄臭が濃い。湯小屋の片隅に岩を積み上げたようなスペースがあり,外の湯だまりで一旦冷ましたお湯が岩の間から注がれている。しかも湯口の岩には硫黄の湯花がそうめん状にふよふよと伸びて付着している。お湯の中にも白い湯花がうっすら舞い,硫黄臭のするお湯についついうっとりしてしまう。無色透明なお湯だが,薄塩味とタマゴ味を伴ったやわらかめのお湯で長湯できそうなくらい丁度良い温度になっている。窓の外には夏油川の渓谷が美しく広がる。真下を眺めると疝気湯が丸見えになるのでちょっと目のやり場に困るかも知れない。浴槽は1つで,コンクリートを基調にしたシンプルな湯船で10人くらいは入れそうな広さ。
 どうしてもここを露天風呂と呼ぶ気にはなれないが,個人的にはここのお湯が大好きなので文句は付けないことにする。


源泉名 夏油温泉(疝気湯)
泉 質 ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉
温 度 約39℃ pH 溶存成分総計
お湯の様子 足下自噴湯, 無色透明,薄塩味,微温泉臭,ぬるめ,川の横で丸見え

 


<疝気湯>

 元湯夏油の自炊棟を通り抜け一番奥へ長い階段を下る。そして見えてくる滝ノ湯浴場のすぐ左下。大湯から川下方向へもどり,すぐに見えてくる丸見えの露天風呂。簡易的な脱衣所があるが大湯からタオル1枚で移動してくる人たちの方圧倒的に多い。
 川原のすぐ横に自噴していたお湯のすぐ上に浴槽を作ったもので,当然のことながら足下から自噴させているお湯。お湯の鮮度が良く,体に新鮮な気泡がつく。浴槽の底の真ん中以外にも浴槽の端の隙間からぽこぽこぽこと泡と一緒にお湯が沸いてきている。無色透明,薄塩味弱温泉臭を伴った温めのお湯が静かに注がれ,パイプからかけ流されている。お湯自体はとても気持ち良いのだが,観光客が多いときはまさに入りづらいお湯No.1になる。特に女性にとってはかなり勇気がいる浴槽となる。足下自噴大好き人間や,コンプリートしなければ気が済まないという人たちは必須だが,あえてここを選ばずに目の湯を選ぶという手段もある。ここもぜひ宿泊利用でゆっくり入った方がよい。


源泉名 夏油温泉(真湯)
泉 質 ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)
温 度 56.6℃ pH 6.5 溶存成分総計 3,904mg/kg
お湯の様子 無色透明,苦味+炭酸味+塩味,やや熱め,かけ流し,弱硫黄臭

 


<真湯>

 元湯夏油のメインストリート右側にある「紅葉館」の前,自炊棟の間を夏油川方向へ曲がり下っていく。長い階段を2回折れながらひたすら階下へ下る。下った先にある突きあたりの湯小屋が真湯露天風呂。ここは男女別の脱衣所があるだけで中は完全混浴。大湯と同じ時間帯で「混浴」「女性専用」時間が推移しており女性専用になる時間は大湯と同じ。川向こうにある目の湯から真湯の露天風呂がすっかり丸見えになるため,覗かれたりするのを防止するという意味合いで目の湯も同じ時間帯で推移することになる。

 コンクリートと岩を使って作られたあまり深くない浴槽に,無色透明でやや熱めなお湯が注がれかけ流されている。大湯ほど広いわけでなく,6〜7人が同時に入浴できるような広さの浴槽が1つだけある。注がれているお湯は若干硫黄分を感じるようなお湯で,なめると微妙に苦味と炭酸味を伴った塩味がする。以前宿泊で利用したときは悪臭がしたが,今回は朝一番の利用だったためお湯がとてもクリアーで心地よい香りがしていた。川原をすぐ近くに感じることができ,森の緑で大きな屋根を組まれたような感じがする立地条件にあるために,温泉浴だけでなく森林浴も一緒に味わうことができる。大湯同様にかなりリラックスできるが,大湯とちがってくつろげる広いスペースが無いために,ゆったりできないのが難点である。


源泉名 夏油温泉(女(目)の湯)
泉 質 ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)
温 度 35.8℃ pH 6.5 溶存成分総計 4,916mg/kg
お湯の様子 無色透明, 薄塩味+薄炭酸味,泡つきあり,ぬるめ,川向こうに橋で行く

 


<目の湯>

 元湯夏油の浴室(浴槽)の中で唯一夏油川の対岸にある風呂。真湯露天風呂方向へ階段を下り,真湯の正面からさらに鉄の階段を4段下り川原へ下る(サンダルなどでは足を取られるので注意)。そこから手すりなどが全くない板張りの橋を渡って目の湯へ向かう。この橋がとても滑るんです。くれぐれもサンダルなどでここへ挑まないようにしてほしい。川が増水しているときなどは結構怖いかも知れない。真湯と目の湯はすぐ川を挟んで正面のため,入浴客がすっぽんぽんのまま橋を渡る姿を見かけるが,この姿を大湯方向から見ることができるので,くれぐれもだれにも見られていないと勘違いだけはしないようにしてほしい。せめてタオルを巻いて移動しよう。
 目の湯に向かうとすだれがかかっただけで脱衣所 と一体型になった露天風呂が1つある。崖面にある岩の間の底からぽこぽことお湯がわき出す足下自噴の浴槽。足下自噴というだけあり,かなりお湯の鮮度が高く,体中がアワアワになるくらい泡つきがある。お湯は無色透明で薄塩味,若干塩系の温泉臭を感じるものでかなり温め。狭めの浴槽のため温度が低くてもあまり気にならない。逆にゆったり入浴できるのがポイント。しかしここは夏油温泉。こういう狭い浴槽でゆったりしていると次から次へと観光客がやってくる。よって,じっくり入るわけにはいかないのである。どうしてもゆっくり自噴湯に浸かってみたいという場合は,宿泊するか,早朝6時〜7時位に日帰り入浴で訪れるのがよいだろう。