見立温泉(Mitate Spa


施設名 見立の湯
場 所 岩手県西和賀町鷲合森国有林
源泉名
泉 質 単純温泉
温 度 湯口40℃ pH 溶存成分総計
お湯の様子 無色透明,弱石膏味,弱石膏臭,ぬるめ,野湯,かけながし
料 金 無料 営業時間 24時間 冬期閉鎖

 西和賀町のとんでもない山奥にある旧鉱山関係者の保養施設跡地。位置的に言うと湯田錦秋湖と夏油温泉の間にある鷲合森山の中腹を流れる桧之沢渓谷沿いにある。国道107号線から県道をひた走り、集落の終点で林道湯田−夏油線に入る。そこから舗装道路(途中崩落地や落石多数あり)を数キロすすみ、舗装が切れてからさらにダート(最大30センチほどの削れ流水溝や露出岩あり)を数キロ進む。このダートは普通乗用車で行くにはかなりきつい。すると立派な看板(上写真)が見えるので、そこが登山道入り口だ。そこからがけの沢沿いに5分ほど歩く。この沢沿いの道、細い上に崖下に転落するとかなり危険な高さにある。この日は友人のH氏家族(父&小学生2名)、自分たち親子(父&幼児)を連れての山歩きだったのだが、乾いた落ち葉で足下が滑るため、さすがに子どもを単独で歩かせるわけにはいかないような状態だった。足下に気を遣いながら慎重に進んでいくと、途中の支流の上にコンクリート升(ニセ見立の湯)が見えてくる。ここまで来るとゴールが近い。そんなのに目もくれず先へ突き進むとやっとお目当ての浴槽が目に入ってくる。この日は山菜採りの登山客2名が先客として湯浴みしていた。

 すぐ脇を流れる桧之沢沿いにはまだ雪渓が残り、川の横には見事な簾のような滝が落ちている。川の音以外に何も聞こえない空間にしずかにお湯が注がれた浴槽がぽつんとあるのだ。まさに大自然の中に不釣り合いな浴槽である。いつ熊が出てきてもおかしくないシチュエーションだ。タイルばりのコンクリート浴槽が2つ並んでいるのだが、なぜか片方にお湯がはられていない。おそらく手入れの手間や源泉の湧出量の都合上片方のみに注がせていると思われる。お湯は無色透明、うっすら石膏臭が漂うなめらかなお湯で湯温がぬるめの38℃程度だ。湯口付近で40℃ある位の温度で、お湯に浸かっていると体中がアワアワになる。パイプ湯口から注がれるお湯を口に含んでみるとほんのり甘い石膏味が感じられる。実にすばらしいお湯だ。これからの季節は間違いなくアブやブヨとの格闘になるのだろうが、まだそのシーズン手前だったため心地よく湯浴みできた。一緒に山を歩いた子どもたちも大満足の1湯だった。時間の都合上ゆっくり湯浴みできなかったのだが、またいつか季節を選んでぜひ訪れてみたいと思った野湯だ。

H20/5/18


  
登山道途中で突然現れる「ニセ見立の湯」不気味です。    上から見た見立の湯。浴槽の奥に桧之沢の流れが見えます。   張られていない方の浴槽。奥がお湯入り。

  
ゆったりとお湯に浸かる先客2名。ここにおじゃまさせてもらいました。   湯口からはあまり多くない注がせ源泉。    このがけ道を進みます。結構危険です。