俄虫温泉(Gamushi Spa)


施設名 俄虫温泉旅館
住 所 檜山郡厚沢部町字上里
源泉名 上里2号源泉
泉 質 単純温泉
溶存成分総計 121mg/kg
水素イオンpH 3.7
湯 温 30.7℃
お湯の様子 (内湯)無色透明、やや熱め、消毒臭、循環利用
(露天)無色透明、ぬるめ、弱温泉臭
(家族風呂)無色透明、熱め、弱温泉臭、かけ流し
料 金 大人 400円
町内65歳以上 100円
家族風呂
 1,500円~1,800円
営業時間 10:00~22:00(土日祝)
11:00~22:00(平日)
   

【プロローグ】
 以前、温泉仲間のJake氏と一緒に北海道の温泉を廻った時に「TKさん、ガムシですよ、ガムシ!これは絶対行かなきゃ。だって、ガムシですよ!」と強くプッシュされたのにもかかわらず、加温循環に興味があまり湧かなかったため、Jake氏の要望をサラリとかわして素通りさせてもらった温泉旅館。「ぬるめの源泉を温めて循環して利用している昔ながらの温泉旅館」というイメージがあったため、その時は全く気にしていなかった。
 しかし、あれから数年が経ち、その近辺を通るたびに「TKさん、ガムシですよ!」と笑顔で語りかけてくるJake氏の言葉がリフレインしてきていた。いつの間にか自分の中で「俄虫温泉」が、道南の温泉で一番気になる温泉になっていた。周辺には「盤石山荘」、「上ノ国保養センター」、「銀婚湯」、「濁川温泉」など有名な温泉もたくさんあり、別に立ち寄る必要など無いのだが、それでもこの胸の疼きは…。

 そんな2025年3月の終わりのある日、気が付いた時には既にフェリーに乗り込み、北海道檜山郡厚沢部町へと向かっている自分がいたのだった。

【旅立ち・ガムシへの道】
 スタート地点はわかりやすい場所である国道沿いの「道の駅あっさぶ」だ。国道227号線を函館方面へ向かい、国道から道道67号線(八雲・厚沢部線)に入り、役場の前を通って八雲方向へ向かう。右手にスキー場が見えた後に「俄虫温泉」という看板があるのでその通りに左折して進むと上里温泉ふれあいセンターに到着する。俄虫温泉へは、上里温泉でさらに右へ曲がる必要がある。きちんと看板が誘導してくれるので間違うことはないだろう。

 

 

 営業開始が午前10時ということで、ちょっと早めの9時30分に俄虫温泉旅館へ到着し、回りの様子を観察した。正面玄関ではなく建物の奥の方に「日帰り入浴入り口」という看板が見える。その場所へ足を運ぶと、俄虫温泉バスと今は使われておらず物置のようになっている元玄関があった。どう見ても今はこの入り口は使ってなさそうだ。そのまま玄関に戻ると、そちらにも「日帰り入浴入り口」という看板があった。しまった!見落とした。スタートからつまずいた形での訪問になったが、気を取り直し、玄関へ行き「ちょっと早いけれどいいでしょうか?」とお願いした。すると、「10時まで待ってね~」と軽くかわされ、ロビーで待つことになった。
 

 

 ロビーには、温泉旅館デフォルトのお土産コーナーがあり、長期湯治に来ているマダム用のファッションコーナー、子ども用のおもちゃコーナー、そして手作り弁当が売ってあった。このボリュームで500円はこのご時世としては、大変お値打ち品かもしれない。また、券売機の下にあった「がむし名物手羽先」1本120円が、妙に気になった。どんな手羽先なんだろう?どんな味つけかな?などなど…。そうこうしているうちに時間になり、券売機で入浴券を購入し、浴室へと向かうのであった。

 


 

 途中には無料休憩所と家族風呂へ分かれる分岐点、そしてその横には「俄虫の癒」とデカデカと書かれた岩盤浴コーナーが見える。「ブラックシリカから放射される遠赤外線効果!マイナスイオン効果が今話題!」(・_・D フムフム、時代の波に乗って岩盤浴まであるのか…、と思ったら「営業は中止しました」の張り紙が。

 

 岩盤浴の通路からちょっと進んだ先に男女別の浴室がある。10時にオープンして、自分がお客さん第1号と思いきや、すでに地元のご老人が先客で入浴中だった。おい、いつの間に…。

【お風呂探訪編その1(内湯の巻)】
 天井が高く、明り取りの窓から日差しがきれいに差し込む浴室は、白タイルを使って明るい色合いになっている。初めて俄虫温泉旅館の存在を知った頃は、もっと昔風の鉱泉宿の浴室をイメージしていたのだが、それとは全然違って新しい感じの浴室だった。手前にジャグジーのついた2人サイズの丸い浴槽(まだお湯が1/4しか溜まっていなかった)、奥にメインの浴槽があり、両側に洗い場が並んでいる。シャンプー類もしっかり完備されており、これで400円という値段設定は嬉しい。浴槽の奥の湯口からは豪快に熱めのお湯がじゃぶじゃぶ注がれている。消毒臭が香る透明なお湯は肌に差し込んでくるような感じがする力強いお湯だ。体を温めるにはちょうどよい熱さかもしれない。



 

【お風呂探訪編その2(露天風呂の巻)】
 露天風呂へ出る扉を開くと、外気温1℃という現実が肌に突き刺さってくる。天気は良いのだが、この日の気温は朝から一桁台の前半だったのだ。庭園風の露天風呂は風情があり、内湯の白に対してガムシ感(勝手なイメージ)が高い。個人的に、このガムシ感が良かった。寒い中で、早速露天風呂に浸かってみると、これがとてつもなく温く感じられるのだ!外気温との兼ね合いなのかもしれないが、39℃程度の湯温だったと思う。大きな岩を伝って注がれるお湯はそんなに大量ではなく、少しずつ静かに浴槽に注がれている。内湯と違ってやわらかめの浴感があり、とろみを感じる。ツルスベ感は無いが、ゆっくり入っていられそうなすてきなお湯だ。お湯の表面から消毒臭は無く、温泉臭がふんわり香ってくる。露天風呂のすぐ横にはサウナと水風呂があり、地味に稼働していた。ちなみに水風呂は地下水を利用、露天風呂は温泉と地下水との混合を加温しているとのことだった。個人的にこの湯遣いがとても気に入った。

 しかし、俄虫温泉旅館で一番良い湯遣いはここではなかった!!!

【お風呂探訪編その3(家族風呂の巻)】
 廊下の分岐から先にある休憩所(無料)を抜けると、そこに家族風呂が3つもあった。それぞれの名前があり、【露天の間:1,800円@1時間】、【和の間:1,500円@1時間】、【森の間:1,500円@1時間】と、部屋によって値段が若干違うが、なんとどの部屋のお風呂も源泉かけ流しなのだ。しかもやや熱めのセッティングとなっている。ふんわり温泉臭が香り、湯遣いが抜群に良い。時間と予算と意欲の都合で家族風呂は利用できなかったが、俄虫チャレンジをするウォッチャーの皆さんには、ここの家族風呂にぜひ浸かって、その詳細を掲示板にてレポートをしてほしい。
 ※宿泊客は+500円で利用できるらしい。

 

 

 

 


【ガムシのまとめ】
 俄虫温泉旅館…、その名前からは到底想像もつかないお風呂のワンダーランドでした。公式パンフレットによると「湯煙たなびく山峡の温泉旅館」というキャッチフレーズで、解説文では「静かな山あいの清流につつまれて、湯のぬくもりが心地よい。花の色に、鳥のさえずりに、、、四季折々の情緒と贅をつくしたおもてなし。俄虫温泉旅館で素敵な一日を。」と紹介されている。宿泊や宴会で利用した場合は、希望制で「江差追分日本一の名人ショー」を予約することもできるのだそうだ。うぅん、日本一の名人…、見てみたい。
 ちなみに厚沢部町の高齢者(65歳以上)は100円で利用できるのだそうで、地元の高齢者の方に人気らしい。隣にある上里温泉は13時から営業なので、比べてみると、こちらの俄虫温泉旅館の方が営業時間も長いし、単独でも家族連れでも利用形態に合わせて選べるから便利であろう。

 帰り際に、入り口の扉横にヒグマの剝製がいることに気付いた。ヒグマにしては小さいことと、熊らしからぬ色あせ具合からなのか妙に愛嬌があるヒグマに見える。「ありがとうございました。またどうぞ~!」とでも言っているのであろうか?
 あとから調べてわかった事なのだが、俄虫(ガムシ)とは、「カムイウシ(熊が多い)」というアイヌ語に由来するという説が主流なのだそうで、だから玄関にヒグマの剝製が置いてあったということである。やはり北海道の地名は漢字からだけでは判断できないので、しっかりチャレンジする必要がある!ということだろう。今後の教訓にしたいと思った。
 まあ、この近くまで来て、時間に余裕があったらまた来るかもしれない(;^_^A。

【ガムシ探索を終えて】
 2年前にJake氏の申し出をスルーしてしまった自分が情けなく、今はJake氏に申し訳ないという思いで一杯だ。
どなたか、ぜひ夏に俄虫温泉旅館の家族風呂3つハシゴの旅に出かけませんか?(^^)/



2023/8/13