法師温泉(Houshi Spa


施設名 長寿館
場 所 群馬県みなかみ町大字永井
源泉名 法師温泉(旭の湯)
泉 質 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
温 度 47.0℃ pH 8.2 溶存成分総計 1,250mg/kg
お湯の様子 無色透明,適温,無味,石膏臭+微硫黄臭,足下自噴,かけ流し
料 金 800円 営業時間 10:30〜13:30

  日本秘湯を守る会に所属している有名旅館。三国街道から約4.5kmほど長野側に入った先にある。日帰り受付開始時間ちょうどに駐車場に着き,できるだけお客が少ないベストな時間を選んだのだが…

 入口から建物を見ると,立派な風格を備えた木造建築でこれぞ日本の温泉だ!と言いたくなってしまう。まさしく「日本秘湯を守る会」という提灯がよく似合っている。まずは受付で入浴料を支払った。ちょっと高額だがそこはしょうがない。何せすばらしい足下自噴の湯小屋があるのだ。この施設は入口で自分の履き物をビニール袋に入れ,脱衣所まで持っていき自己管理することになるため一寸だけ手間がかかる。受付で執拗なまで(合計4度)に「貴重品をお預かりしますが」と声をかけられ,それならこの上履きを預かってくれないか?と言いたくなるほどだった。気持ちを取り直して日帰り入浴を唯一受け付けている混浴浴室「法師の湯」へ向かう。女性は女性専用浴室の「長寿の湯」かこの「法師の湯」のどちらにも入ることが出来るが,男性は「法師の湯」しか解放されていない。この他にも時間で男女入れ替えになる「玉城の湯」,そして野天風呂「官行の湯」がある。
 脱衣所で男女別にわかれるが,中ではすぐ繋がっていて完全な混浴だ。浴室内にも脱衣所があり,どちらで脱衣しても良いことになっている。自分の荷物などが気になる人は浴室内の脱衣所を使えばよい。まず中に入ってびっくりしたのはお客の数だ。大きく4つ(枕木でさらに分けられているが)に分けられる浴槽の全てに男性が埋まっている。日帰り入浴で最初を狙ってきたのだが,のんびり湯浴みできるような雰囲気は最初から無かった。とりあえず空いている場所へ向かいお湯を味わってみた。

 木で組まれた深めの浴槽の底は玉砂利がしいてあり,その間からコロコロッと湯玉が上がってくる。まさしく足下自噴だ。お湯は無色透明で温め,やわらかい浴感で湯面からほんのりと石膏臭にも似たやわらかな香りと硫黄臭が入り交じっている。実に素敵な香りだ。お湯も温めの40度程度でずっと入っていられそうな温度だ。
 この浴槽,大きく4つに分けられているが,脱衣所側の方につぎ足し湯口があり,手前の2つがやや熱め,奥の2つが温めにセッティングされている。足下自噴が盛んなポイントが数カ所あり,そこがすばらしいんだと友人も紹介してくれた。1番ではないがなかなか良い場所を陣取ることができ,しばしそのお湯の良さを味わうことができた。鼻の真下まで体を沈め,天井を見上げると実に立派な梁が目に入ってくる。壁の窓もモダンな造りになっており,時が止まったようにさえ感じてしまう。本当にすばらしい。

 しばしお湯の良さを味わっていると不思議なことに気づく。全くお湯に浸かろうとせず,ただじっと1点だけを見つめている浴客がたくさんいるのだ。その客が居るポイントにすばらしい足下自噴ポイントがあるのに,その客は一向に体を浸ける気配もなく,ただ1点を見つめている。そう,女性脱衣所入口だ。つまり,入浴目的ではなく混浴ウォッチを目的として来ている客らしいのだ。今まで噂には聞いたことがあるが実際に目の当たりにすると非常に気分が悪くなる。その浴室にいる全ての客がマナーの悪い客じゃないかと思えてくるのだ。自分もそう見られるのがイヤなので,もう少しすばらしいお湯に浸かっていたかったのだがたった20〜30分ほどでこのお湯とお別れした。脱衣所からその客をよく観察してみると,まわりに陣取っている人たちも含めて10人前後はいただろうか。これじゃ女性も近寄らない。一緒に湯めぐりしていた友人の女性がわざと脱衣所に行き,ガラス越しに姿を見せたら,一斉にその輩たちが顔を上げたのは言うまでもない。せっかく良いお湯があり,皆に開放しようとして宿でも配慮をしているはずなのに…。

 夢にまで見た法師温泉長寿館,お湯良し風情良しなのだが,高額な入浴料,最初の印象,そして入浴客のマナーと悪い印象がついて回り個人的評価が★1つとなってしまった。平日など客が少ないときや,宿泊などすることによってこのお湯の良さが本当に味わえるのだなぁと思った。

H19/7/16


  
人が混みすぎていたため,浴槽の縁から見える玉砂利のみ撮影。  湯面に映るすばらしい湯小屋の雰囲気。  男女別の入口。女性は夜でなければ厳しいだろう