吉野谷鉱泉(Yoshinoya Cold Spa


施設名 勿驚世界之名湯 吉野谷鑛泉
場 所 福島県いわき市吉野谷字南作
源泉名 吉野谷鉱泉
泉 質 アルカリ性単純冷鉱泉(2種類)
温 度 - pH - 溶存成分総計 -
お湯の様子 無色透明,無味,無臭,薪で沸かしての加温有り,湯あがりさらり,かけ流し
料 金 300円 営業時間 8:20〜16:00、18:30〜19:30

 いわき市中央台飯野,いわき明星大学周辺の住宅街のど真ん中にある開湯200年にも及ぶ鉱泉宿がある。新興住宅街で街道が整備され,たくさんの目新しい住宅が建ち並ぶ中に「吉野谷鉱泉営業しています。」という看板だけがあり,その入口道路を下ると風景が一変する。今まで住宅街だったものが大自然の谷底のような感じになるのだ。そして行き着いた先に見えた「勿驚世界之名湯」という文字。思わずこのギャップと鄙び感にブルッと体が震えてしまった。車を停め,中へ向かって歩き出すと中から人が出てきて「トラブルがあったので写真撮影はダメ。カメラは車に置いてきて。」ときつく言われたためカメラを持たずに入ることになった。(下にある浴室は水彩イメージ画)

 一通り宿主から説明を受け,いざ浴室へ入ってみる。蛇口が2つ並び「白水鉱泉水」「渋水鉱泉水」と書かれてある。浴槽に貯められたお湯がやや熱めだったため早速2つの鉱泉を注がせお湯を味わった。ここのお湯は日によってはお湯が黒くなったり赤くなったりするらしいが,この日は無色透明でクセのないお湯だった。浴感もこれといってあわが付いたりツルツルしたりと際だった特徴は無い。しかし浴後の湯切れ感がすばらしく,ポカポカしているのに肌がさっぱりしていて爽快感がある。鉱泉水をそれぞれ口に含んで味わってみると,白水はまろやかで口当たりが良く飲みやすい。渋水は若干苦いような感じはするがこれまたマイルドな味だ。どちらもなかなか優良な鉱泉である。ここの鉱泉は薪を使って沸かしているため,鉱泉水を継ぎ足しすぎたときは脱衣所にある鐘を鳴らすと薪を追加して焚いてくれる。しかし薪はしばらく燃え続けるため,今度は加水する必要が出てくる。昔ながらのお湯の沸かしを今もなお続けているところがまたすばらしい。
 次に入る客が控えていたためあまり時間をかけていられなかったが,ほんの少しの時間でも十分このお湯の良さは感じ取ることができた。ちなみに脱衣所外にある流し場では一升瓶2本まで白水鉱泉水を持ち帰ることができる。2つある浴室を1日おきに利用している点や,湯治客が転ばないために石けんなどの利用は使っていないほうの浴室でという点など,湯治客のことを考えた配慮が随所にある宿である。

H19/10/5


  
こちらが住宅街の間を降りていった先にある吉野谷。  この看板を見るとすごさが実感できる。  写真はダメなので水彩画イメージ風に表してみました。