裏磐梯早稲沢温泉(Ura Bandai Wasezawa Spa


施設名 民宿 森川荘
場 所 福島県北塩原村大字桧原字早稲沢
源泉名 裏磐梯早稲沢温泉
泉 質 カルシウム-硫酸塩泉
温 度 45.5℃ pH 溶存成分総計 2,032mg/kg
(Ca 566mg, SO4 1329mg, Cl 49.4mg)
お湯の様子 無色透明,うっすら甘み,芒硝臭,ビリビリ,泡付きあり,やや熱め,かけ流し
料 金 300円 営業時間 要相談

 裏磐梯桧原湖畔にある早稲沢温泉の温泉民宿で,県道2号沿いにあるためすぐに見つけることができる。今回は友人の強烈なプッシュにより湯めぐらんすで宿泊宿として利用させていただいた。山の民宿らしく,1泊2食6700円という安価な設定で駅伝の合宿や磐梯山の登山客などが主として利用している宿だ。なぜこの宿を湯めぐらんすの宿にプッシュしたのかというと,それは…管理人が芒硝好きなのを知っている友人が気を利かせて私を驚かせようと計画していたからなのである。到着前までは「大好きな芒硝泉だから嬉しいなぁ」という程度の期待だったのだが,到着して浴室を覗いてみた瞬間にその気持ちは一転することになる。

 まず宿についてチェックインするなり,玄関のすぐ横に男女別の内湯浴室が見えた。部屋へ向かう前にちょっとだけのぞき見…と思って脱衣所に入ってみると,何と脱衣所全体に芒硝臭が香っているのがわかった。も,もしや…と思い,服を着たままですぐに浴室の扉を開けると思わず顔がニンマリしてしまうような香りが漂っていたのです。もはや笑いが止まりません。部屋に入り,すぐにここをプッシュしてくれた友人の手を両手で握りしめていたことは書くまでもないでしょう。その日の行程では,食事までの1時間を利用して近所の桧原温泉まで出かける手はずだったためあまり時間が無く,この旅館の湯を味わうのは食後と決めていたはずなのですが,気がついたら服を脱いで内湯の浴槽に体を沈めていました。たった2分でいいから味わってみたい,という気持ちでまずは1回目の入浴を味わいました。無色透明でやや熱め。体を沈めると肌にピリピリと刺し込んでくるような刺激があり,湯面からはっきりと芒硝臭が香ってくる。水面近くまで顔を埋め,水面の香りをしばし楽しんだ。たった2分間の湯浴みなのだが,もう体が大喜びしているのがよくわかった。湯上がり後,真っ赤になった体から全く汗が噴き出してこないのがこのお湯の最大の特徴だ。成分表を見ると全成分の60%以上が硫酸塩イオンを占めている。これぞ純粋な芒硝泉である。
 地物のキノコづくしの食事の後,湯めぐらんすで小さな宴会に入った。宴会でみんなが盛り上がっている間に芒硝好きな体が疼き出し,気がついたら宴会場から1人飛び出してそのまま玄関に向かっていた。この日初めての露天風呂遠征だ。露天風呂は玄関から出て道路へ向かう途中の駐車場敷地内にある。茅でくくっているが昼間は丸見えの露天風呂で,真っ白いポリバスが1つ置いてあるだけなのである。ポリバスマニアの人にはたまらないシチュエーションでしょう。その露天風呂へ行くと,先に夕食を終え露天風呂で酒宴の続きをしていた茨城からの登山客で賑わっていた。その中で露天風呂へおじゃまさせていただき,そのままその方々と一緒にビールを飲みながら1時間近く露天風呂でまったりしてしまった。この露天風呂,内湯よりも源泉温度が熱く,ビリビリ感が強い。まるで別源泉のような力強さだ。後から聞いた話だと,この露天風呂で使われていた源泉は,早稲沢温泉に2本ある源泉のうちの熱いほう(宝来湯)で,森川荘では冬期間は床暖房として利用しているのだそうで,友人がぜひ露天風呂に入れてくれとお願いしたから特別に湯を張っていたのだそうで…。本当に感謝の1湯だ。この日の外気は3℃。そんな寒い外気の中でビリビリの芒硝泉に浸かり続ける。非常に贅沢で至福の時を過ごさせてもらった。寒くて上がれないのではなく,気持ちよすぎてずっとその場に居たいという気持ちでいつまでも上がれずに浸かり続けていました。個人的にこんなに自分の入りたいという欲求が高まったお湯は生まれて初めてでした。茨城の登山客も部屋に戻り,露天風呂にただ1人ぽつんと残されたが,ここからが本当の意味での真骨頂でした。静かな夜空を見上げながら貸し切り露天風呂に浸かる。湯はやや熱めだが,浸かり続けても全く湯疲れしないすばらしい芒硝泉…。気がつけば仲間との宴のことなどすっかり忘れて1人でお湯を満喫していた。
 いっこうに宴に戻らない私のことを心配して数人仲間がやってきたが,その仲間達も気がつけばそのまま露天風呂の虜(写真は内湯の虜になった友人)になっていた。私個人ではこの時2時間浸かり続けていました。

 この日の晩,もう一度内湯と露天を味わってから床についたのは言うまでもない。

 早朝5時にセットしたアラームで一発起床し,速攻で露天風呂へ向かった。当然朝一の貸し切り露天風呂である。早朝6時から川上温泉へ遠征するということだったので,露天風呂から直接車へ行こうと全てをスタンバイし,そのまま1時間浸かり続けた。早朝の白々と明けてくる景色を見ながらの芒硝泉もなかなか味わい深いものだ。ポリバス内の湯温は真夜中よりも熱めになっており,湯のコンディションも大変良かった。このお湯の心地よさはホントこの上ない。気がつけば体にこびりついていたはずの明礬臭,硫黄臭はすっかり消え,代わりにピュアな芒硝臭がこびりついていた。6時を過ぎても知人達が集まらなかったので,もし集まらないときはそのままここに居続けてもいいかなと思えるほどだった。
 朝食の後,名残惜しさからもう一度内湯を満喫した。今回の宿泊で気がつけば内湯3回,露天3回。のべ浸かり時間4〜5時間程度だった。実質旅館滞在時間が10時間程度だった事を考えると,そのうちの3分の1以上を湯に浸かり続けていた計算になる。

 個人的な評価ではありますがこの旅館の湯は★5つの評価では書ききれないほどの喜びでした。うまく伝えられるかどうかはわかりませんが,芒硝好きの人にとっては,この早稲沢温泉自体がマストな温泉地だと思います。

H20/11/8至福の宿泊


  
こちら内湯浴槽。細長いタイル浴槽に透き通る美しい源泉。  見えますでしょうか,この美しい透明感が。  湯口から静かに注がれ溢れていく。

  
これが夜食で出たキノコづくしの食事。キノコバター焼きや天ぷら,そして地物の柿。   早朝の森川荘。  色づく紅葉の奥に仮設露天風呂。

  
この素敵な仮設の奥に鎮座するのがポリバス。   ポリバスからドバドバと溢れ出すビリビリ湯。    このパイプから注がせているんです。

  
朝食も美味しく頂きました。ご飯がお代わり自由。  これで通算6度目の入浴。旅館に泊まって最長記録です。   この湯口から離れられませんでした。