いわき湯本温泉(Iwaki Yumoto Spa)


施設名 東湯
場 所 福島県いわき市常磐湯本町三函
源泉名 常磐湯本温泉(湯本温泉源泉)
泉 質 含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
温 度 59.0℃ pH 8.1 溶存成分総計 1,740mg/kg
(Na 523mg, Cl 556mg, SO4 390mg, HS 9.5mg)
お湯の様子 薄黄色透明,タマゴ味,硫化水素臭,あつめ,かけ流し
料 金 70円(洗髪20円) 営業時間 15:00〜22:00

平成19年10月31日、新東湯の開業とともに閉鎖予定。


 福島県いわき市のいわき湯本温泉財産区が管理する共同浴場で,さはこの湯のすぐ横の路地裏にひっそりと佇んでいる。駅前に立派になった新浴舎ができるために,残念ながら平成19年10月いっぱいで閉鎖される。

 男女別の入口を通り抜けると昔ながらの番台があり,そこで入浴料を支払う。普通入浴70円,洗髪すると20円アップする仕組みだ。脱衣所の奥にはこぢんまりしたタイル造りの浴室が見える。
 浴室に入ると左奥に水色タイルの浴槽が1つあるだけの非常にシンプルな造りになっている。カランが3つほどあるだけでシャワーなどは何もない。午後15時すぎという営業開始時間付近ということもあってか,中は開店を待ちわびていた地元の常連さん達で賑わっていた。それにしても賑やかで和やかである。どの人たちも笑顔で日常のお茶飲み話に花が咲いている。そんな浴槽にライオン湯口から注がれるお湯は薄黄緑色透明な硫黄泉だ。熱めでビリビリくる硫黄泉で,お湯からは上品な硫化水素臭が香る。熱めのお湯に体を沈めると最初のうちピリリと肌に突き刺してきた刺激がだんだん和らいでいき,気がつくと湯面すれすれに鼻を近づけてうっとりと硫化水素の香りに酔いしれている自分に気づく。一緒に行った友人も満面の笑みを浮かべていた。お湯から上がると体は真っ赤になっていた。それでもまたしばらくするとこの熱いお湯に浸かりたくなるのだ。上品な香りに吸い込まれるかのように何度も何度もお湯を味わった。
 すぐ近くにある「さはこの湯」は洗い場が仕切壁で分けられており,入浴客同士の会話などはほとんど交わされていない。どちらかというと観光客がメインで地元民はあまり見受けられなかったような気がする。それと反対にここ「東湯」は観光客の姿が無く,地元民で活気に満ちあふれている。ここは地元の人たちに愛されている社交場の役割をしているように見えた。このようなすばらしい共同浴場が閉鎖されるのは残念だが,これから運用を開始する新東湯も今までと同様に地元の人たちの良き社交場であってほしいと思う。

H19/10/6


  
シンプルな浴槽が1つ。うす緑色の硫黄泉が注がれる。   ライオン湯口も勇ましく…。   熱心にメモを取る友人。この番台を見られるのもあとわずか。