大滝温泉(Otaki Spa) 


施設名 滝の湯旅館
場 所 秋田県大館市十二所字町頭
源泉名 大滝温泉5号井
泉 質

ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉

温 度 59.5℃ pH 溶存成分総計 2,018mg/kg
(Na 473mg, Ca 194mg, Cl 500mg, SO4 688mg)
お湯の様子 無色透明,やや甘味,芒硝臭,熱め,かけ流し
料 金 600円 営業時間 要相談(〜19:00位がベスト)

平成24年1月現在、廃業を確認しました。


 大滝温泉の長い歴史の中でおそらく一番長い歴史を持つ旅館。大お婆さんの話だと500年ほど続いている旅館で,元々の源泉はこの滝の湯から始まったと語っていた。外観はかなり鄙びが入っていて一見営業していないかのように見えるが,普通に営業している。今回はおそるおそる訪問した。入口で「入浴お願いします。」と叫ぶと,帳場の奥から「どうぞ」の一声だけ。お金は?と思い帳場を開けるとそこには大お婆ちゃんが腰を曲げて立っている。「お金を払いたいのですがいくらでしょうか」と尋ねると「普段いくら位払ってるんだ?」と逆に尋ねられる始末。300円〜400円くらいですがと答えると「んじゃ400円でいいよ。」という返答だった。こんな対応は初めてなのでだいぶとまどったが,気を取り直して浴室へ向かった。

 真っ暗な廊下を抜け,川の方へ進むとそこに大浴場と婦人用浴室がある。旅館とは違ってこの浴室は改装したらしく,新しく明るい雰囲気を漂わせている。脱衣所の棚の上に昭和33年7月分析の大滝温泉5号井の手書き成分表が飾ってある。紙も色あせており,文化遺産に指定したいくらい立派な物だ。今も5号井を使っているのだから,この5号井(今は新5号井)は実にロングランな源泉である??
 浴室に入ってまずほんわか香ってくるのが心地よい芒硝臭だ。これには思わず口元がゆるんでしまう。広い窓から明るい光が差し込み,窓の外には雄大な米代川の流れが見える。タイルで作られた美しい浴槽の端から源泉が加水無しで注がれ,反対側の隅に埋め込まれたパイプを通してかけ流されている。浴槽の広さは一度に10人程度が入れそうな広さで,洗い場にはシャワー付きカランが3本並ぶ。無色透明でやや甘みがあるが無味で芒硝臭が香るお湯はとても心地よく,入ってはトドになり,そしてまた入ってはトドになることを繰り返し,結局この日は1時間以上も浸かってしまった。大滝温泉の源泉タンクに近いためなのかしれないが,お湯の鮮度が高いように感じた。芒硝泉特有の汗がさっと引くさわやか感も健在で,湯上がり時に肌がさらりとする。今回は時間をかけて体中の汗をしっかり出し,すっきりした。ここは気持ちいいです。大滝温泉に穴場発見といったところか?
 浴室にあるケロリン桶の周りにはカルシウム成分がこびりついており,大滝温泉本来の力強さを物語っているように感じた。婦人用浴室は1/4円の形をした浴槽があり,5人程度が入れる広さ。窓が狭く暗い雰囲気なのでやはり大浴場を利用してみてほしい。

H19/1/10


  
窓の外に広がる米代川の雄大な流れ。   湯口から注がれる源泉100%のアチチ湯。   透き通った透明なお湯と浴槽のタイルが美しい。

  
ケロリン桶にこびりつくカルシウム成分。見えるかな。    これが婦人用浴室。結構広いが暗め。   文化遺産になりそうな5号井の分析表